フレームワークや分析手法はとても便利なツール。マーケティングの基礎を学ぶ上でも、多くのフレームワークや分析手法に触れていきます。事実の把握や情報整理をするために効果的で、複雑に絡み合う現象を理解しやすくしたり、関係者で共通認識をもったりするためなど、様々なシーンで威力を発揮します。とても強力的なツールだと言うことができるでしょう。
ただ、その際に陥ってしまうことが多いのが、情報を整理したり、分析して結果を出したりすることだけで満足してしまうこと。本来の目的である「仮説を構築・検証し、成果を上げるための行動につなげる」というアウトプットに至らずに終わることが意外と多くあります。手段の目的化です。私も多くのマーケターをはじめとするビジネスパーソンがそのような成果物を出してきたのを目の当たりにしてきました。とてももったいないことではないでしょうか。
そのような事態を防ぐために、どのような視点で物事を考えればいいのか「思考法」がとても大切になってきます。それをとてもわかりやすく紐解いているのが本著。著者は、経営者や中堅のビジネスパーソンに戦略思考や戦略策定のワークショップを提供している河瀬誠氏。他にも多くの著書がありますが、どれもとてもわかりやすく、多くのビジネスパーソンから支持を得ています。
著者が重要性を指摘するのが、「戦略思考」。マーケティングなどの専門知識があったとしても、それを的確に使いこなせる思考力がないと成果にはつながりません。コンピューターに例えると、専門知識はアプリケーション、戦略思考はそれらを動かすOSです。OSの性能によって、アウトプットできる成果の質も量も異なってきます。
数多くの研修を通して見えてきた著者の考える「頭の動かし方」の基礎を学ぶことができるのが、本著。キーワードは「ファクトをアクトに落とし込め」。知識を身に付けるだけでなく使いこなして成果につなげていくためにも、ぜひ本著に書かれているような視点を学び、少しでも実行に移していただければと思います。
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