マーケティングも守破離が大切。

ペルソナ


ペルソナとは?

ペルソナとは、自組織が扱う製品やサービスを購入・利用してくれるであろう「“理想”の顧客」「“仮想”の顧客」のことである(なぜ、理想と仮想に「“ ”」をつけたのかは後ほど説明します)。商品やサービスを設計したり、マーケティング・コミュニケーション(広告、コンテンツ作成など)を考えたりする際に対象を明確にする上でとても有効な方法としてよく使われています。

一般的には、顧客のイメージ写真、プロフィール(性別、年齢、勤め先、家族構成、趣味など)や口癖、価値観、1日の行動、抱えている課題、どのように日々情報を収集しているかなどの情報で構成されます。もしまだ作成したことがないようであれば、ぜひこの機に自分たちのサービスなどについて作成をしてみてください。

ペルソナ

なぜペルソナ分析が必要なのか?

1.組織内で共通認識をもつため

製品・サービス企画やマーケティング戦略・戦術の立案の際、誰を対象にするのか共通の認識がないまま進めていくと、「自分が客だったらこうだろう」「私だったらそれが嫌いだからやらないだろう」など、関係者それぞれが勝手に自分が考える顧客像をもとに議論が始まり、統一見解がないがために意見がバラバラのまま会議などの収拾がつかなくなり、軸がぶれたまま進んでしまうことがよくあります。

顧客を明確にすることで「Aさんならどう考えるだろう。」「Bさんはこんなことに関心があるからCという訴求を試してみよう」など共通の認識をもとに議論ができるようになるため、ぶれずに企画や戦略立案などを進めることができやすくなります。

2.マーケティング・コミュニケーションを考えるため

より広告クリエイティブやWebコンテンツの内容(メイン訴求内容、構成、デザインなど)、メールのフォロー内容やフォローシナリオを考える上でも、より顧客に合った施策を落とし込むことができるようになる。

3.顧客のファン化やLTV(顧客生涯価値)を向上させるため

ペルソナ分析は購入前・利用前だけでなく、購入後・利用後にどのように製品・サービスに対して感想を抱くか、それをもとにどう周囲に製品・サービスについて紹介してくれるかなどもイメージすることができ、顧客のファン化やLTV(顧客生涯価値)を向上させるためにも有用である。

扱う製品・サービスなどによって、どの切り口を重視した方が良いかに違いが出てきます。

以前のように地理的変数や人口統計分布の切り口だけでは、年齢・性別・地域などを問わず多様な価値観やライフスタイルをもつようになってきた顧客に対しては十分ではなくなってきています。収集が難しい情報ではありますが、心理的変数・行動変数を今後はより重視していくことになるでしょう。

ペルソナ分析の具体的な進め方

1.実際の顧客や潜在顧客・検討者などペルソナをつくる対象の情報を集める(定量情報・定性情報)

2.収集した情報を整理・分類してまとめる

3.ペルソナ像を具体的に作り込む

情報収集に関する基本的な考え方

情報収集については、実際はその時にできる範囲内で進めていくことになります。定量情報(調査結果、購入履歴など)も定性情報(インタビュー、行動観察、アンケート結果など)もどちらも十分にあるに越したことはないですが、実際は必要な情報が初めからすべて揃っていることはありません。

どこまで情報収集するのが現実的なのかを見極めながら、進めてください。ペルソナの精度が低い場合(ある程度高くても)、実際にアクションをとって反響を見ながら「Aさん、費用に課題があると思っていたけど、実は時間管理が気になっていてサービスを利用するかどうか悩んでいるね」などブラッシュアップをしていくのが現実的だと言えます。

情報収集した方が良い基本内容としては、プロフィール(年齢、性別、学歴、居住地、収入など)、社会での役割(勤務先<業界規模、企業規模なども>、役職、スキル、知識など)、価値観(興味・関心、達成したいこと、重視していること、抱えている課題など)、行動(情報収集方法、言動など)とその理由・動機が挙げられます。

また、扱う製品・サービスによって重要なポイントがありますが、もしそういったものがあれば上記に盛り込んでください(例:英会話スクールであれば、対象の英語力、英語を使うシーン、TOEICのスコアなど)。

情報収集後の進め方

情報の収集ができたら、収集した情報を精査・整理した上で共通項を見つけ、グルーピングを進めていきます。これがペルソナの大元になります。一般的には以下の切り口でまとめられることが多いです。

【よく利用される切り口】
・デモグラフィック情報(性別、年齢、家族構成、仕事、年収など)
・役職、スキル、知識
・1日の過ごし方
・価値観
・抱えている課題
・情報源・情報収集方法
・販売しようとしている製品・サービスの利用目的・動機

次にグループ分けをした情報をもとにペルソナに肉付けをしていきます。箇条書きでまとめた情報をつなぎ合わせ、そのペルソナの人間やストーリーを作り上げていく段階に入ることになります。扱っている製品・サービスによってどのような項目でまとめあげるかは異なってきますが、よく使われるのは以下の項目です。

【よく使われる項目】
そのペルソナの基本情報(デモグラフィックや役職、所属会社や組織)
そのペルソナの1日の生活(BtoC)・業務内容(BtoB)
そのペルソナが持つゴールや課題、チャレンジ
そのペルソナの情報との接し方(情報源、接触タイミング、接触方法)
そのペルソナの製品やサービスの選び方(購買行動と関与の方法)
そのペルソナがよく口にする言葉(ペルソナの特徴がよく出るように)

もし作り上げていく中で具体的に描けないところが出てきたら、そのポイントの情報が不足している、もしくは理解不足であるということです。そういった点を見つけながら、ブラッシュアップをしていきましょう。

ペルソナを作るうえでの注意点・ポイント

1.いるはずもない“理想”の顧客を作らない

「“理想”の顧客」「“仮想”の顧客」とペルソナの定義について冒頭で紹介しました。実際に、そのように紹介をしている書籍も多く、セミナーで解説をする講師も多いです。しかし、“理想”や“仮想”といっても、いるはずもない顧客を描いては意味はありません。本当にいる、リアルな顧客を描くからこそ意味あるペルソナができます。言葉が独り歩きしてしまい、よくこのような誤解が起きています。

では、リアルなペルソナを作り上げるポイントは何か?ひとつは、議論をする中で作り上げたペルソナをメンバーに見せたときに「あ、こういう人いる!例えば、Aさん、Cさん、Fさん!!」などといった反応が返ってきて、その場が盛り上がるかどうかです。顧客と接することが多い方のレビューは必須で、フィードバックを得ながらペルソナの確からしさを検証していくと意味あるペルソナになりやすいと言えます。意外と見落とされがちですが、本当に重要なことなので面倒がらずに行ってください。

2.行動の背景にある理由・動機・気持ちに迫る

ペルソナがもつ目的意識、課題、情報収集などの行動パターンの背景にある理由・動機・気持ちが何なのかを描くことが大切です。もちろん、仮説でもよいです。それが明確だからこそ、「だからこの施策を行おう!」「こういった訴求をしていこう」などより的確な可能性の高い施策に落とし込むことができますし、もし効果がなかった場合も何が駄目だったのかを考えて仮説を立てることがよりできるようになります。

3.写真は侮れない

ペルソナに副える写真も重要です。顔が見えているのといないのとでは、顧客に対する理解度が変わってくるし、「Aさんだったらどう考えるだろう?」などと議論をする際に不思議と真剣さや具体性が異なってきます。顔がはっきり見える、できるかぎり日常生活に近いであろう写真をネットなどから探して利用してみてください(フリー素材が望ましいです)。

4.普段目が届くところに貼っておく

もし可能であれば、作ったペルソナを印刷して普段仕事をする場所に張り出してください。働いていると、どうしても自分たち都合で物事を考えがちになってしまいます。顧客視点が抜け落ちることは、頭ではいけないことだと理解していても実によくあることです。それを避けるためにも、常にペルソナを貼りだしておき、「Aさんなら、このクリエイティブを見たらどう思うだろう?」などと考えながら、できるかぎり顧客視点をもって業務に取り組んでいきたいものです。

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