リードナーチャリングとは?
リードナーチャリングとは、よく言われる定義をご紹介すると「見込み客(リード)を育成(ナーチャリング)すること」です。展示会などで交換した名刺や資料請求者のリストなど、見込み顧客に対して情報提供をすることで啓発し、有望顧客に育成することを指します。
特に検討期間が長いB to Bのビジネスにおいて重視されており、最近だとマーケティングオートメーションといったサービスの登場などによりその重要性がさらに指摘されてきています。
ただ、よく使われる定義には個人的に少々抵抗を感じます。「見込み顧客を有望顧客に育成する」というのはあくまでもマーケティングを行う人側の視点での発想であり、下手をするとマーケティングの実施側の偏った視点で一方的に情報提供を、しかも見込み顧客が必要としない情報を提供し続けてしまうことも十分にあるのではないかと思うためです(よくそのようなメールを受け取りませんか?)。
それが、最近指摘されてきているマーケティングオートメーションを導入したけれどもうまく成果につながらない要因のひとつになっているのではないかと個人的には考えています。
リードナーチャリングの本質とは?
リードナーチャリングの本質は、「適切な人に、適切なタイミングで、適切な情報を届け、自組織や製品・サービスに対する理解を深めてもらいながら共感を得、見込み顧客との関係を深めていくこと」にあると思います。
それと同時に、見込み顧客だけでなく「既存客に対しても同様のことを行うことでさらに良好な関係を築き、ファンになってもらい、企業と顧客の成長につなげていく」ことにあるのではないでしょうか。
リードナーチャリングを成功させるには、まずは実施の目的を定めるところにあります。セミナー参加者を見込み顧客になってもらうことを目指すのか、展示会参加者の中で本当に検討している人が誰なのかを特定するのか、ニーズに応じたコミュニケーションを行うことで受注率を上げるのかなど、リードナーチャリングと一言でいっても様々なステージや目的が考えられます。まずはそれを固め、そのために見込み顧客の何を理解する必要があるのか、何をすればいいのかを考えていくことになります。
一方通行の情報発信になってはいないか?
リードナーチャリングというと、よく聞くのがメール配信や電話営業、DM送付などです。いずれも有効な方法です。しかし、普段ご自身が行っている施策を振り返ったときに、リードナーチャリングと言いながらもメールの一斉配信をしているのみだったり、手当たり次第に電話をかけたり、一斉にDM送付をしたりしていないでしょうか。
もちろん、それでもある程度の反響はあるかもしれません。しかし、情報の受け手は様々なステータスの方がいるはずです。見込み顧客と良い関係をつくってビジネスにつなげていくためには、それぞれの状況に合わせてコミュニケーションをとっていく必要があるのではないでしょうか。いかにそのような情報を収集できる仕組みを構築し、それをフォロー内容に落とし込めるようになるかが重要になってきます。
マーケティングオートメーションがないとできないのか?
冒頭でマーケティングオートメーションというツールをご紹介しました。最近は日本国内のベンダーも増えてきており、特色のあるとても優れたツールが増えてきました。しかし、そのようなツールがなくても、例えば「Bのようなきっかけでリードを獲得できた人にはDのようなトークが刺さる可能性が高い」「名刺交換をしてから何日以上経つと先方の検討度合が落ちている」「Aという課題がある人にはCという解決策を提案すると受注しやすい」などのような組織内に蓄積された知見(成功事例、失敗事例など)をもとにコミュニケーションの取り方を考えて、それをシナリオ化し、スタッフで実践をしてみるなどもできるでしょう。
何もツールがないとできないわけではないです。むしろ、このような点を疎かにしたままツールを導入すると成果につながらずツール導入が失敗する確率も高くなりがちです。リードをExcelで管理して反響を記録していくようにするなど、まずはできるところからやってみるのも良いのではないでしょうか。
また、リードナーチャリングというとB to Bでの活用が全面に出がちですが、B to Cにおいても重要であることに違いはありません。製品・サービスの検討プロセスや意思決定のポイントなどに違いがありますが、要はそれを踏まえた上で「必要な人に、必要なタイミングで、必要な情報をいかに届けて関係を築いていくか」が重要なのです。