マーケティングとは何でしょうか?
そのようにお聞きすると、リサーチをすること、広告を出稿すること、チラシを作ることなど、様々な答えが返ってきます。
マーケティングという言葉は人によってかなり捉え方が違うようです。でも、上記のものはマーケティングの1領域にすぎません。では、マーケティングとはいったい何なのでしょうか?まずは下記にて代表的な定義をいくつか紹介してみましょう。
1.全米マーケティング協会(AMA:2007年)
マーケティングとは、顧客、依頼人、パートナー、社会全体にとって価値のある提供物を創造・伝達・配達・交換するための活動であり、一連の制度、そしてプロセスである。
2.ピーター・ドラッカー
マーケティングの究極の目標は、セリング(売り込み)を不要にすることだ。
3.フィリップ・コトラー
マーケティングとは、個人や集団が、製品および価値の創造と交換を通じて、そのニーズや欲求を満たす社会的・管理的プロセスである。
4.セオドア・レビット
マーケティングとは、顧客の創造である。
5.日本マーケティング協会(JMA:1990年)
マーケティングとは、企業および他の組織がグローバルな視野に立ち、顧客との相互理解を得ながら、公正な競争を通じて行う市場創造のための総合的活動である。
など、その他にも様々な方の立場でマーケティングが定義されてきました。皆さんはご覧になられてピンときますでしょうか?それぞれ、切り口も異なっていて少しわかりにくいかもしれないですし、なんとか様々な要素を統合しようとしてイメージが掴みにくいものになってしまっているのではないかと思います。もっと噛み砕いていうと、どういうことなのでしょうか?
1.基本となる考え方
顧客に“価値”を提供することで、その対価としてお金をいただくこと。
そのための仕組みをつくり、実行し続けること。
2.それを実現するために・・・
適切な人に、適切なタイミングで、適切な情報・サービス等を提供し続けること。
と言うことができるのではないかと思います。とてもシンプルではないでしょうか。
つまり・・・
そもそも、価値とは何なのでしょうか?
“価値”とは何なのでしょうか?顧客にとって問題の解決につながることや、嬉しいことを指します。
【有名なドリルと穴の例】
皆さんがドリルを探しているとします。それはなぜでしょうか?ドリルがほしいのでしょうか?
実際はドリルが欲しいのではなく、ネジをはめる穴がほしいはずです。つまり、この場合の価値は「ネジをはめる穴を空けられること」です。穴を空けられるのであれば、ドリルでなくてもかまいません。
言われてみると当たり前のことかもしれませんが、ついつい忘れてしまいがちなことでもあります。皆さんが取り扱う製品・サービスの価値とは何でしょうか?
万人受けを狙いたい、それって本当に良いのでしょうか?
価値を提供するとしたら、明確に誰に提供するのかを考えなくてはなりません。
どのような課題を抱えているのか?
日々、どのようなことに関心をもっているのか?
など、人によって感じる価値も違います。
「万人受けするものを作って提供したい!」という声もよく聞きますが、万人受けを狙ったものは特徴がないものになりがちで、結局誰にも買ってもらえない、利用してもらえないということは往々にしてあるものです。
誰に価値を提供するのかを決めるというのは、それだけ大切なことなのです。完全に個別に対応するのは困難ですが(技術的には徐々に可能にはなってきています)、似たような人たちをひとつのグループとしてまとめて考えることで、それに近しいことが実現可能です。
自己中心的なものの見方になっていませんか?
その顧客に価値を提供するのは皆さんだけでしょうか?
きっと、競合となる組織や個人がいるはずです。彼らも皆さんと同じような(厳密にいうと違うのでしょうが)価値を提供しています。
どうすれば、自分を選んでもらえるでしょうか?そのためには、自分たちの方が競合よりも、その顧客にとって価値が高いものを提供している必要があります。
安さなのか?多機能であることなのか?軽さなのか?など、競合にはない+αの違いがあるでしょう。どのようなポイントが、顧客にとって意味ある価値になるのでしょうか?
意外と見落とされがちですが、“変化”に気付いていますか?
顧客も競合も時代の流れで変わっていきます。変化が激しいと言われる今の時代、顧客も競合もずっと同じというわけにはいかないでしょう。
環境が変われば競合の戦略も変わりますし、顧客の価値観も変わってくるもの。その中で、自分たちはどのような価値をどう提供していくのかを考え続けなくてはなりません。
そして、それをどうまわりに伝えていくか?どう顧客と関係を構築していくかなども重要になってきます。
まずは“守破離”の精神で!
マーケティングでは、これらのことを考え、考えるだけでなくて実行まで移していかなくてはなりません。
実際にどうすればいいのか?という質問をいただくことも多くあります。唯一絶対の解は存在しません。ただ、その時々の最適解を考え、仮説を立てて検証しながら進んでいくための基本的なステップは存在します。
自力でやってみる、我流でやってみる、流行りの方法を取り入れてみる。それも良いかもしれません。ただ、先人が作り上げてきた「マーケティングの型」とも言えるものをまず身に付け、自分のものにし、少しずつ他の要素を取り入れながら自分独自の「型」を生み出していく方法もあるのではないでしょうか。
いわゆる、「守破離」の考え方です。そのような取り組みをした方が、効率的・効果的にマーケティングを行うための考え方やスキルが身に付きやすくなるのではないかと思います。苦しみもあるけれども楽しみも多いマーケティングの世界(私はよく“楽苦しい(たのくるしい)”という言い方をしていますが)、ぜひ楽しみながらチャレンジしてみてください。