マーケティングにおいて当然、スキルや知見は大切です。マーケティングの基礎トレでも、それがとても大切なことなので多くのコンテンツをそのような分野に割いています。ただ、それと同時にスキルや知見だけでは物事をうまく進めることができないことも事実。その上で大切になってくるのが、社内外の関係者の協力を得、連携していくことではないでしょうか。つまり、人をいかに巻き込んでいくかということです。

大きな成果を上げるためには、人がお互いの強みや情報を持ち寄りながら連携して仕事を進めていくことが不可欠。たまに「俺らが稼いでいるのだからあなた達は協力しなさい」といった会話を耳にしますが、それでは人を巻き込むことはできません。協力をする気も起きないでしょう。わかっていても、意外と疎かにしてしまう点ではないでしょうか。そして、そこから様々なほころびが生まれ、組織の負のスパイラルが始まってしまいます。私自身もそのような例を多く目の当たりにしてきました。とても残念なことです。

日本の宇宙開発を担うJAXAで働く職員の仕事の進め方のエッセンスをまとめたものが本著。JAXAは最先端の技術を扱っているというイメージがありますが(もちろん、そうなのですが)、実は仕事のスタイルはとてもアナログだそうです。私も初めて本著を読んだときに、少々驚きを感じるところもありました。ただ、その内容を読むと納得です。

JAXAの職員の方々は突発的な問題に対処するために、普段から情報が集まる部署に足を運び、情報を手元に集めておくことを習慣づけているといいます。情報収集のポイントは「全体像をつかむこと」。まずは組織を統括する部署で情報(縦軸)を集め、次に隣の部署(横軸)の情報を聞いて回る。そうすることで、急な問題が発生しても部署間で連携しながら速やかに対応することができるそうです。ちょっとした雑談からでも十分。信頼関係の構築はもちろん、ちょっとした会話からヒントを得ることも。

マーケティングでも、強みの棚卸であったり、対外的に発信する情報のネタを探したりするためなどに社内の情報は重要です。また、施策を実施する上で他部署の協力を仰ぐことも当然あること。普段から他部署などとコミュニケーションをとっておくことは間違いなく大切だと言えるでしょう。ただ、忙しさや煩わしさにかまけて疎かになってしまうところでもありますね。

本著でも「相手の状況や立場をよく理解したうえで、自分の意見を主張するのが「和」を重んじるJAXA流」と紹介されていますが、ビジネスにおいてもせっかくならこのような関係をもち、お互い気持ちよく仕事をして成果を上げたいですね。

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