マーケティング活動の核になるのは顧客理解だとこれまで何度か繰り返しお伝えしてきました。そのために、皆様は何をされているでしょうか?アンケート調査でしょうか?個別インタビューでしょうか?それとも、グループインタビューなどでしょうか?得られた情報やデータを見て、仮説検証をしている方も多くいらっしゃるでしょう。しかし、顧客理解を深めるためにするべきことは、それだけなのでしょうか?
仕事の内容によって行いやすさや向き不向きはあるかもしれませんが、現場で実際に顧客の様子を見ることには大きな意味があります。「場」に行くからこそ得られる、その「場」ならではの情報はやはりあるのではないでしょうか。インタビューやアンケートなどで得られる情報も有効ですが、そこには本人がまだ自覚していないこと(言語化されていないこと)は反映されにくいもの。それに、行動を観察することで気づくこともあり得ます。こちらが想定していなかった気づきに出会うこともあるでしょう。
行動観察とは、端的にいうとしたら「場」を観察することを通して物事の本質をとらえて解決策を発想する方法論のことです。解決策を生み出すために仮説を見出す方法といってもいいかもしれません。人は自分自身のことであったとしても、言語化して明確に語ることができない側面が多くあるかと思います。だからこそ、「なんとなく」とか「よくわからないのだけど、やっちゃう…」ということが起こるといえるでしょう。
行動観察には「観察」「分析」「ソリューション」という3つのステップがあります。その実行において著者は、「Fire」が大切だとしています。Fact(事実)、Insight(洞察)、Reframe(枠組みの再構築)、Extensive Knowledge(幅広い知見)のことです。事実を集め、解釈して洞察を導き出し、物事を見る枠組みを再構築して新たな発想で解決策を提供する。そして、各プロセスにおいて、査読論文になっているレベルの学術的な知見(人間工学、エスノグラフィー、社会心理学など)から、他社の成功事例や教養、そして雑学など多岐にわたる知見が根拠として活きてくるというのです。そのような意味では、行動観察には総合力が求められるということができるでしょう。ただ、よくよく考えてみると行動観察に限ったことではないですね。いずれも、人に対する理解を深めるためには大切な視点なのだと思います。
書籍では、「高齢者が本当に求めていることは何なのか?」「中国人観光客のまだ見ぬニーズがどこにあるのか?」「工事職人の顧客満足度を上げるには?」など、実際に著者が取り組んだ行動観察の事例が多数紹介されており、行動観察の内容などに対する理解を深めることができるようになっています。ご興味をお持ちの方はぜひ手に取ってみてください。そして、いざ現場へ!
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